無題

2004-10-17
作者:カノン さん

誰かを傷つけたと涙を流し
瞳を閉じて何も聞こうとしない愛しい貴方。
その涙つたう頬を覆う私の手は
痩せた身体を抱きしめる私の腕は
それ程か弱く冷たいかしら?

私の声が聞こえるならば
目を開けて。
心を開いて。
周りを見て。
ほら。
何も壊れてなど居ないでしょう?

誰かを傷つけることで自ら傷つく貴方に気付いた時
『傷つくなら貴方が良い』
そう願った。
あの日から
貴方のくれる全てのモノがこんなにも愛しい。

解っているの。
この手も腕も
傷つきやすい貴方の心を
守りきることなど出来やしないと。

自らに嘘をつき欺くことで身を守るのが貴方の術ならば
私はその硬い殻に包まれた卵を温め続けよう。

明けぬ夜などない…そう信じて。

匂いたつ華を想う春。
潮風に肌を灼く夏。
鐘の音を聞いた奇跡の秋。
天使の羽根が舞い降りる空を見上げ立ち尽くした冬。

幾年月を夢見た昨日。
全ては貴方と共に。


 
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