星々の旋律



 夜空に輝く星々の瞬きは、実を言うと、彼等の奏でる詩なんだ。地上に居る私達の耳には、それは決して届きはしないけれど。宙には星々の旋律が響き渡っているんだ。
 遥か昔、まだ人間が地上に存在しなかった頃から。星々は、その旋律を奏でているんだ。神々を称え、大地と海を讃え、生命を寿ぐというその詩を。星々は飽く事なく歌い続けているという。荘厳にして華麗で。安らぎと歓喜に満ちて。聞く者全ての心を癒してくれる。私達の誰も聞く事の出来ないその唄は、そんな優しく美しいなの曲だという。
 その調べは、途切れる事なく宙一杯に響き渡る。時には高く、誇らかに。時には低く、穏やかに。星々は、今も変わらず歌い続けているという。そして星々のあの煌めきは、彼等自身の奏でる旋律の共鳴で。だからこそ、あんなに美しく見えるんだ。
 何時の日か、私達もその唄を耳にする事が出来るだろうか?それは誰にも分からないけれど。
 私達が宙に憧れるのは。この地上から飛び立とうと、何度でも試みるのは。きっとその願いが心の何処かにあるからなんだ。
 星々の旋律に少しでも近付きたくて。遥か遠い過去の記憶の奥底に眠る、その美しい唄を聞きたくて。私達は宙を仰ぐのだろう。

 

―― Das Ende. ――



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